者から取材を受けるとき「先生」と呼ばれると、「私はあなたに何も教えたことがないから、先生と呼ばないで」と頼む。ところがそれでは納得しない人がいる。「だって、そう呼ばないと機嫌の悪い大学の先生がいるんです。ある男性の教授を○○さんと呼んだら、失敬だって怒り出したんですよ」と。 問1 「いやだ」とあるが、なぜいやなのか。 1 自分は教師ではないから。 2 年長者だと思われるから。 3 自分は教師の端くれだから。 4 おだてられているようだから。問2 「それでは納得しない人」とあるが、どの人か。 1 マスコミ関係者 2 男性の教授 3 同僚の教師 4 学生 問題Ⅱ 次の(1)から(4)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。 (1) 子どもが自室に閉じこもるのは親から独立した自分だけの精神的世界を持ちはじめたことの現われだろうから、悪いとばかりは言えない。子供だって、自分が親に完全管理されることをいつか嫌うようになるもので、もしそうならないとすれば、また別の心配が生じるだろう。しかし、そうは言っても、これは程度問題で、子供が学校から帰ってから寝るまで、食事の時を除いてずうっと自分の部屋にいる、というのでは、家族間のコミュニケーションも希薄になる。だから、子供がある年齢に達して自室に閉じこもりがちになることを、一つの成長過程として認めるにしても、建築的にそれを助長するような空間の作り方は避けるべきだろう。 そういう考え方にしたがうと、子供部屋は、あんまり居心地が良くない方がよいのではないか。居心地が良くない、というと語弊があるが、少なくても良すぎない方がいい。もっと正確に言えば、ある内向的な時を過ごすには居心地がいいが、その気持ちがふっと外へ向いた時には、多少気詰まりに感じられて、自然に部屋の外へ、居間や食堂へ出て行きたくなるような部屋がいい 問1 「別の心配」とはどのようなことか。 1 子供が独立心を持ちすぎて、自分だけの世界に閉じこもる心配 2 子供に独立心が生まれず、親に依存する子供になる心配 3 親が子供に対して影響力を持たなくなる心配 4 親が子供に完全に支配されることになる心配問2 「それ」とは何を指すか。 1 子供が自分の部屋に閉じこもらないようにすること 2 成長過程に必要なコミュニケーションをとること 3 子供が自分の部屋に閉じこもりがちになること 4 家族間のコミュニケーションが生まれること問3 筆者の子供部屋についての考えはどれか。 1 子供部屋は、子供の独立心を養うためには不要である。 2 子供部屋は、子供がある年齢に達するまで必要である。 3 子供部屋は、子供が管理されすぎない設計がいい。 4 子供部屋は、子供にとって快適すぎない設計がいい。 (2) 調べることと書くことは、もっぱら私のようなジャーナリストにだけ必要とされる能力ではなく、現代社会においては、ほとんどあらゆる知的職業において、一生の間必要とされる能力である。ジャーナリストであろうと、官僚であろうと、ビジネスマンであろうと、研究職、法律職、教育職などの知的労働者であろうと、大学を出てからつくたいていの職業生活のかなりの部分が、調べることと書くことに費やされるはずである。近代社会は、あらゆる側面において、基本的に文書化されることで組織されているからである。 人を動かし、組織を動かし、社会を動かそうと思うなら、いい文章が書けなければならない。いい文章とは、名文ということではない。うまい文章でなくてもよいが、達意の文章でなければならない。文章を書くということは、何かを伝えたいということである。自分が伝えたいことが、その文章を読む人に伝わなければ何もならない。 何かを伝える文章は、まずロジカルでなければならない。しかし、ロジックには内容(コンテンツ)がともわなければならない。論より証拠なのである。論を立てるほうは、頭の中の作業ですむが、コンテンツのほうは、どこからか材料を調べて持ってこなければならない。いいコンテンツに必要なのは、材料となるファクトであり、情報である。そこでどうしても調べるという作業が必要になってくる。 問1 「近代社会」とあるが、筆者はその特徴をどのようにとらえているか。 1 官僚でも、ビジネスマンでも、研究者でも活躍できる社会 2 文書が作られ、それに基づいて人や組織が動いている社会 3 法律職などの知的労働者が作成した文書に従って動いている社会 4 大学を出てから職業につく人があらゆる場面で必要とされる社会問2 「いい文章」とあるが、筆者はそれをどのようなものと考えているか。 1 調べることと書くことに時間を費やした文章 2 人々を感動させて社会を動かそうとする文章 3 自分の伝えたいことが相手に十分伝わる文章 4 小説家が書くような豊かな内容の文章問3 いい文章を書くために必要なことは何か。 1 論理を組み立てることと、論理を支える情報を調べること 2 論理とそれを支える証拠を頭の中で組み立て、見つけだすこと 3 ジャーナリストが持っているような知的能力を身に付けること 4 ジャーナリストだけでなく、あらゆる職業生活について知ること (3) 実在する人間の個性をはっきりつかんだ顔が、いわゆる似顔である。 似顔のコツとは、その相手のいちばん大きな特徴をつかんだら勝ちである。男ではめがねとかひげ、女では顔のりんかくと口もとを描いただけで、もうその人だとわかることもあるくらいだ。 政治家でいえば、(故)吉田首脳はめがねと口、(故)岸首脳は口もと、(故)佐藤首脳はまゆ毛と目、そして(故)田中首脳はひげが、最大の特徴