第17課 マスコミ
一、「における」
【用法】「名1+における+名2」
【意味と用例】
❶物事が行われる場所、場面を表わす。
◆明治時代における外来語の流入が、今日の日本語 にも影響を与えている。 ◆東京ドームにおけるコンサートは大成功だった。
❷方面、分野という意味を表す。
◆憲法研究における山本氏の業績は、広く知られて いるところである。
【練習】次の適当なところを「における」で言 い直しなさい。
①在職中の功労が認められた。
②家庭での彼は実によい父です。
③日本の場合の四季の変化は他の国には見られないものです。
④過去の過ちを謝罪します。
⑤このレポートでは江戸時代の庶民と武士の暮らし方の比較をしてみた。
【注意】「 …において」の形で動詞を修飾する。
◆卒業式は3月15日に体育館において行われる。
◆申し込みは1番窓口において受け付けます。
二、接尾語「あたり」
【意味】単位となる名詞につけて、割合や平均を 言う時に使う。
【用例】
◆漢字の使用率は百字当たり二十三字です。
◆キロあたりの運賃は800円です。
◆6日間で6千円もらったから、一日当たり千 円になります。
◆4人家族で、お米を20キロ買っておいたら、 一人あたり5キロです。
三、「以上」
【意味・用法・用例】
❶「数詞+以上」その数値を超えるという意味。
◆このエレベーターは六人以上乗れません。
◆六歳以上、十二歳までは子供料金です。
❷「名詞・動詞+以上」その程度を超えるという意味。 ◆自分の能力以上の仕事を与えられるのは悪いこと
ではない。
◆試験の点は想像以上に悪かった。
◆そのレストランはみんなが言う以上においしい。 ❸前に書いたことや述べたことを締めくくるときに使う。
◆会社側が提出した条件とは、以上に示す五項目で
ある。
◆私の話は以上のようです。❹「名である/動詞連体形+以上(は)」
「それをする/したという状況では」という意味。 後ろにはそれに伴う覚悟をし、責任を持たなければならないという決意・勧告・義務などの表現が続く。
=「からには」 ◆約束した以上、破るわけには行かない。
◆学生である以上は、勉強を第一にしなさい。 【練習Ⅰ】次の文を「以上」で言い換えなさい。
①それよりもっと努力しても恐らく何の効果も上がらないと思うよ。
②65歳を越えた人は入場料はただになる。
③親であるからには、子を扶養する義務がある。
④彼女はタイの人なのに、日本人よりも日本の歴史について詳しい。
⑤その薬は期待よりもいい効果をもたらした。
⑥お金を払ってもらうからには、最高の試合をしてお客様に楽しんでいただくことが私たちの仕事です。
【解答】
①それ以上努力しても恐らく何の効果も上がらないと思うよ。
②65歳以上の人は入場料はただになる。
③親である以上、子を扶養する義務がある。
④彼女はタイの人なのに、日本人以上に日本の歴史について詳しい。
⑤その薬は期待以上の効果をもたらした。
⑥お金を払ってもらう以上、最高の試合をしてお客様に楽しんでいただくことが私たちの仕事です。
【練習Ⅱ】次の文を「以上」で繋ぎなさい。
①会のリーダーだ/反対者の意見も公平に聞くべきだ。
②絶対にできると言ってしまった/どんな失敗も許されない。
③いったん始めた/最後まであきらめないつもりです。
④大学を卒業した/自分で働いて食べていくつもりだ。
⑤外国で暮らす/その国の考え方や習慣を知ろうと努めたほうがいい。
⑥この学校に入学した/校則は守らなければならない。
四、接尾語「がましい」
【接続】「名・副詞・動(連用)+がましい」
【意味】
「いかにも…の様子」という意味を表す。そうあってほしくない時に多く使う。ややマイナスイメージの語。形容詞を作る。【用例】
❀押し付けがましい/ 無理にやらせる様子。
❀言い訳がましい/ ものの言い方が言い訳のよう である様子。
【用例】
❀晴れがましい/ いかにもはなやかな様子。
❀恨みがましい/ 恨んでいるように見える様子。
❀恩着せがましい/ 恩に着せて相手に感謝を強いる様子。
❀催促がましい/ いかにも催促する様子。
❀人がましい/ 一人前らしい。
❀未練がましい/ いかにも未練らしい。
❀余所がましい/ よそよそしい様子。
❀わざとがましい/ わざとらしく見える様子。
❀勝手がましい/ いかにもわがままな様子。
❀弁解がましい/ その話はいかにも弁解しているように
聞こえる。
【練習】次の下線部を「がましい」を持つ言葉で 言い換えなさい。
①彼女はあきらめきれないように立ち去った。
②こんな華やかなところへ出ることは初めてです。
③そんなわざとらしいことはしたくない。
④彼は言い訳をしているようなことは一言も言わなかった。
⑤彼の申し出はいかにも促しているようで、いやだ。
【解答】
①彼女は未練がましく立ち去った。
②こんな晴れがましいところへ出ることは初めてです。
③そんなわざとがましいことはしたくない。
④彼は言い訳がましいことは一言も言わなかった。
⑤彼の申し出は催促がましくて、いやだ。
五、「…かのようだ」
【意味】実際はそうでないのに、そうであるかのように振舞ったり、感じたりする様子を表す。
事実と矛盾したり、仮想的な事柄をたとえに挙げて言う場合が多い。
【接続】「動詞連体形・名詞である+かのようだ」
【用例】
◆あたり一面霧に包まれ、まるで別世界にいるかのよう
です。
◆犯人は事件のことを初めて聞いたかのような態度を取っ
た。
◆山田さんの部屋は何か月も掃除していないかのように
汚い。
【練習】次の文を完成しなさい。
①2月というのに暖かくて、まるで かのようだ。
②あの人のご飯の食べ方は速くて、まるで かのようだ。
③本当は見たこともないのに、いかにも かのように話す。
④太田さんは猫を かのように大切にしている。
⑤田中さんにその話をすると、彼は かのよう
な顔をしたが、本当は知っているはずだ。
【解答】
①2月というのに暖かくて、まるで春が来たかのようだ。
②あの人のご飯の食べ方は速くて、まるで何日も食べていな
かったかのようだ。
③本当は見たこともないのに、いかにも自分の目で見てきたかのように話す。
④太田さんは猫を本当の子供であるかのように大切にしている。
⑤田中さんにその話をすると、彼は知らなかったかのよ
うな顔をしたが、本当は知っているはずだ。
六、「びくともしない」
【意味と用例】
❶がっしりとしていたり重かったりして、全然動かない。
◆この岩は、力いっぱい押してもびくともしない。
◆この建物はちょっとやそっとの地震では、びくともしない。
❷気持ちなどがしっかりしていて動じない。
◆このくらいのことでは、ぼくの決心はびくともしない。
◆彼の理論は完璧だから、どんなに攻撃されてもびくともしない。
七、「…たとたん(に)」
【接続】 ❶「動(タ形)+とたん(に)」
❷「そのとたん(に)」
【意味】前の動作や変化が起こるとすぐ後に、別の動作や
変化が起こるということを表す。
【用例】
◆注射をしたとたんに、患者のけいれんはおさまった。
◆ずっと本を読んでいて急に立ち上がったとたん、め まいがした。
◆友達と三十分ほど話して、受話器を置いた。そのと たんに、再び電話のベルが鳴り出した。
【用例】
★ 後の動作・変化に話し手がその場で新たに気づいた
ような場合に用いられるため、「意外だ」というニュ
アンスを伴うことが多い。したがって、話し手の意 志的な動作が後に来る場合は用いることができない。
◆私は家へ帰ったとたん、お風呂に入った。(×)
◆私は家へ帰るとすぐお風呂に入った。(〇)
【練習】「 …たとたん(に)」で、次の文を繋ぎなさい。
①空が急に暗くなりました/大粒の雨が降り出した。
②ドアを開けました/猫が入りました。
③試験終了のベルが鳴りました/教室が騒がしくなりました。
④駅を出ました/電車の中に傘を忘れたことに気がつきました。
⑤仕事が一つ終わりました/また、次の仕事が来たので、休む暇がありません。
八、「 …どころではない」
【接続】「名+どころではない」
「用言連体形+どころではない」【意味】 「そのような活動ができる状況・場合ではない」 という意味。
【用例】
◆こう天気が悪くては、海水浴どころではない。
◆当時はお金もなく、誕生日と言っても祝うどころで
はなかった。
◆春だというのに、お花見どころではなく、夜遅くまで 働いている。
◆仕事が残っていて、酒を飲んでいるどころではないん です。
【関連表現】
「…どころの話ではない」
「…どころのさわぎではない」
「そんな呑気なことを言っている状況ではない」
◆受験生の息子を二人も抱え、海外旅行どころの話ではない。
◆体の調子がよくなくて、酒を飲むどころのさわぎではない。
【練習】次の文を日本語に訳しなさい。
①这么忙,哪谈得上去旅行啊。
【訳文】
①こう忙しくては旅行どころ
ではない。
②哪里谈得上上学,那 个时候连饭都吃不上。
【訳文】
②学校へ行くどころじゃない。
あのころはご飯も食べられ
なかった。
③由于作业多,哪能出去
玩儿啊。
【訳文】
③宿題が多いので、遊びに出る
どころではない。
④这一个月客人不断,
哪能学习啊。
【訳文】
④この一ヶ月は来客が続き、
勉強どころではなかった。
九、「…ほか(は)ない」
【意味】「望ましくはないが、ほかに方法がないので、 やむをえない」という意味を示す。書き言葉
的である。
【接続】 「動詞連体形+ほか(は)ない」
【関連表現】「 …しかない 」
「 … ほかしかたがない」など
【用例】
◆その便に乗り遅れたら、次の便のキャンセルを待
つほかはありませんよ。
◆こうなったからには謝るほかない。
【練習】次の文を「…ほか(は)ない」で
完成しなさい。①ビザの延長ができなかったの
だから、 。
【解答】
①ビザの延長ができなかったの
だから、帰国するしかない。
②彼が忙しいのは分かっている
が、ほかに頼める人がいない
から、 。
【解答】
②彼が忙しいのは分かっている
が、ほかに頼める人がいない
から、彼にお願いするほかな
い。
③当時私は生活に困っていたの
で、 。
【解答】
③当時私は生活に困っていた
ので、学校をやめて働くほか
なかった。
じぶんで行く
④誰も代わりに行ってくれる
人がいないので、 。
【解答】
④誰も代わりに行ってくれる
人がいないので、自分で行
くほかない。
新编日语笔记第三册 第17課 マスコミ